映像制作・動画マーケティング支援|「業務委託だから源泉徴収」の誤解を、業務の中身で判定し直した

佐久間 元気

佐久間 元気

代表 / 税理士・公認会計士

源泉徴収の判定を業務の中身でやり直した事例

※特定を避けるため、一部の情報・数値を調整しています。(2026年7月時点)

この事例の要点

BEFORE

「業務委託だから源泉徴収する」という一律の判断で、対象外の人から徴収し、対象の人から徴収していなかった

AFTER

誤りを4類型に切り分けて特定。外交員の控除の適用漏れによる未払金の精算と、誤徴収分の請求書再発行に着手

一律の判断 → 業務の中身で判定 → 請求書と振込額を一致させる

NOMERAがしたこと

判定の早見表・2種類の計算式・請求書と振込額を一致させるルールを作り、外注先を人別に分類

項目 内容
業種/事業モデル 映像制作・動画マーケティング支援(制作・編集・運営代行)
規模 制作・編集・運営代行・営業代行を、個人・法人複数の業務委託で回す体制
相談のきっかけ 外注先への支払いで、源泉徴収をしている人としていない人が混在していた
主な施策 業務の中身による判定基準の作成/人別の分類と対応表/優先順位つきアクションリスト
成果 誤りを4類型に特定。外交員の控除の適用漏れによる未払金の精算と、誤徴収分の請求書再発行

この事例の要約(3文)

制作・編集・運営代行・営業代行を多数の外注先に任せていたが、源泉徴収をしている人としていない人が混在し、基準がないまま支払いが続いていた。源泉徴収の対象は「誰に払うか」ではなく「何の業務か」で決まるため、早見表と計算式、請求書と振込額を一致させるルールを作り、外注先を人別に分類し直した。その結果、誤りが4つの類型に分かれ、外交員の控除の適用漏れによる未払金の精算と、誤って徴収していた分の請求書再発行に着手した。

相談前に起きていたこと

制作、編集、YouTubeの運営代行、営業代行——多岐にわたる業務を、個人・法人複数の外注先に任せていた。支払いの際、源泉徴収をしている相手としていない相手が混在しており、どちらが正しいのか判断する基準がなかった。請求書に源泉徴収額の記載があるものとないものがあり、振込額とも合っていないケースがあった。

何が原因だったか

「業務委託だから源泉徴収する」という一律の理解です。

源泉徴収の対象は法律で限定列挙されており、契約の名前ではなく実際に何の業務を提供したかで決まります。

問題は、この判定が支払いのたびに発生することです。外注先が増え、同じ人に複数の業務を頼むようになると、都度判断するやり方では追いつかなくなります。判断の基準が共有されていないと、対象外の人から引いてしまったり、対象の人から引き忘れたりします。

NOMERAが変えたこと

① 判定の早見表を作った。 ポイントは業務の中身で判断すること。

  • 支払い先が法人 → 不要
  • 制作・編集(動画制作、デザイン等) → 必要
  • 運営代行(YouTubeのチャンネル運用等) → 不要
  • 営業代行 → 内容によっては外交員の特則が適用される

同じ人に払っていても、制作費なら必要、運営代行費なら不要。ここが最も間違えやすい。なお外交員の特則の対象は国税庁の定義で「外交員、集金人または電力量計の検針人」とされており、自社の営業代行がこれに当たるかは実態で判断する必要がある。

② 計算式が2種類あることを示した。

  • 通常:報酬額 × 10.21%
  • 外交員:(報酬額 − 12万円)× 10.21%。報酬が12万円以下なら源泉徴収は不要

③ 請求書と振込額を一致させるルールを作った。 請求書に源泉徴収額の記載がある場合とない場合で、振込額がどうなるべきかを図で示し、成り立つパターンと、やってはいけないパターンを並べた。

④ 外注先を人別に分類し、対応表にした。 誰がどの区分に当たるかを一覧にし、そのうえで人ごとに必要な対応(返金・再発行・追加徴収・未払金の精算)を書き出した。最後に優先順位を付けたアクションリストをつけている。

解決したこと(事実)

  • 誤りを4つの類型に切り分けて特定した。 ①源泉徴収が不要な人から誤って徴収していた ②外交員の12万円控除を適用せずに徴収していた ③必要なのに請求書にも記載がなく、振込時も控除していなかった ④一部の月だけ徴収が漏れていた。
  • 外交員の控除誤りによる未払金を特定し、精算に着手した。
  • 誤って徴収していた分について、請求書の再発行に着手した。
  • 判断基準を文書化した。 新しい外注先が増えても、早見表で判定できる状態になった。

現在進行中の取り組み(2026年7月時点)

  • 優先順位リストに沿った是正の実行。請求書の再発行と未払金の精算を進めている。

同じ状況の方へ

個人事業主の方と取引があるなら2つ確かめてください。直近の支払いを一覧にして、源泉徴収している人としていない人を、理由とともに説明できますか。 そして請求書の金額と、実際に振り込んだ金額が一致していますか。 どちらかがあいまいなら、同じ誤りが起きている可能性があります。

関連記事

この事例に関するFAQ

Q. 業務委託で支払うなら、源泉徴収は必要なのでは? 契約の名前では決まりません。源泉徴収の対象は法律で限定列挙されており、原稿料・デザイン料・講演料・一定の士業への報酬などが該当します。運営代行や管理業務は、業務委託であっても対象外です。

Q. 相手が法人でも源泉徴収は必要ですか? 原則として不要です。源泉徴収は個人への支払いが対象です。同じ人が個人と法人を使い分けているケースもあるので、請求元がどちらかを確認してください。

Q. 源泉徴収を多めに引いてしまった場合は? 引きすぎた分は相手のお金なので、請求書を正しい金額で再発行し、差額を返金するのが基本です。放置すると相手の確定申告にも影響するため、早めの精算が必要です。

ご相談について

NOMERAは、受託開発・SES・広告・ECなどデジタル領域の企業に特化した、東京・西新宿の会計事務所です。オンラインで全国対応しています。

掲載している事例と近い状況にお心当たりがあれば、一度ご相談ください。

→ ご相談・お問い合わせ

※顧問契約を前提としており、決算申告のみ・記帳代行のみのご依頼はお受けしていません。
※顧問料は事業モデルと記帳体制で変わるため、個別のお見積りです。

UPDATE

内容は掲載時点の制度・実務に基づきます。制度改正があった記事は更新日を改めて記載します。
佐久間 元気

AUTHOR

佐久間 元気

代表 / 税理士・公認会計士

公認会計士試験合格後、PwCを経てNOMERA会計事務所を設立。月次の数字を経営判断につなげ、税務・労務・法務・融資までを一つの窓口で整理する体制を設計

税理士登録番号:149427 / 公認会計士登録番号:043719

POPULAR

よく読まれている記事

初回面談は無料・オンライン対応

現状の課題を整理し、NOMERAで対応できることをご説明します