※特定を避けるため、一部の情報・数値を調整しています。(2026年7月時点)
この事例の要点
ライセンスの仕入代金の支払いが翌々月。売上を計上した月に対応する原価が載らず、その月の利益が約45万円多く見えていた
月次の利益が実態と合うようになり、決算時の納税予測もブレなくなった
売上と仕入が2か月ずれる → 発生ベースへ切り替え → 月次の利益が実態と合う
支払ベースから発生ベースへ。毎月の仕入を買掛金で計上し、支払時に消し込む処理に変更。発注システムのCSVを毎月回して金額を確定
| 項目 | 内容 |
| 業種/事業モデル | クラウドサービスの導入支援とライセンス販売(自社の役務提供と、仕入れて売る商材が混在) |
| 規模 | 初期導入支援+年額ライセンスで100万円前後の案件を複数社に展開 |
| 会計ソフト | マネーフォワード |
| 相談のきっかけ | 月次の利益を見ても、本当にもうかっているのか判断できなかった |
| 主な施策 | 支払ベースから発生ベースへの切り替え/買掛金での月次計上と支払時の消込/発注データの月次連携 |
| 成果 | 実態より約45万円多く見えていた月次利益のもとを特定し、発生ベースへ切り替え |
この事例の要約(3文)
クラウドサービスのライセンスを仕入れて販売する事業で、仕入代金の支払いが翌々月だったため、売上を計上した月に対応する原価が載らない状態になっていた。ある月はその影響で利益が実態より約45万円多く見えていた。毎月の仕入を買掛金で計上し、実際の支払時に消し込む処理に切り替え、発注システムのデータを月次で受け取る運用を作った。
相談前に起きていたこと
クラウドサービスの導入支援が伸び、大型案件も入り始めた。ところが、月次の損益を見ても、その月が本当にもうかったのか判断できない。売上は上がっているのに、対応する仕入の計上が見当たらない月があった。
何が原因だったか
仕入を「支払った月」に計上していたことです。 仕入先の支払サイクルが翌々月だったため、売上と原価が2か月ずれる。売上を計上した月は原価がないので利益が大きく見え、支払った月は対応する売上がないので利益が小さく見える。どちらの月も実態を表していない。
発生した月に計上するという原則自体は、知っている方が多い。問題は、人件費中心の事業だけではこのずれが見えにくいこと。外注費や人件費は発生と支払いが近いため、支払ベースでも大きなズレにならない。
そこにライセンスや商材の仕入が加わると、支払条件の違いがそのまま月次の損益のゆがみになる。自社の労働以外に仕入れて売るものができたときが、切り替えのタイミング。
NOMERAが変えたこと
まず、ずれの大きさを金額で示した。 支払サイクルを確認したところ翌々月払いで、このままだとその月の利益が実際より約45万円多く計上されることを金額で提示した。「ずれている」という概念の説明ではなく、いくら違うかを先に見せた。
支払ベースから発生ベースへ切り替えた。 毎月、仕入を買掛金で計上し、実際に支払ったときに買掛金を消し込む。これで売上と原価が同じ月に並ぶ。
金額の根拠を発注データに取った。 発生ベースにするには、支払う前の段階で金額が確定している必要がある。仕入先の発注システムから出力できるCSVに月別の注文明細が入っていたため、毎月そのCSVを売上原価のフォルダへ送ってもらう運用にした。仕入台帳には発注システムの金額をそのまま入れているため、帳簿と一致する。
解決したこと(事実)
- 月次利益のゆがみを金額で特定した。 反映しない場合、対象の月の利益が実態より約45万円多く計上されることを示した。
- 発生ベースの計上に切り替えた。 毎月仕入を買掛金で計上し、支払時に消し込む処理へ移行。
- 金額確定のフローを作った。 発注システムのCSVを毎月売上原価フォルダへ送る運用を月次のタスクに組み込んだ。
- 決算時の納税予測の精度が上がった。 月ごとの利益が実態と合うため、期中の着地見込みがブレなくなった。
同じ状況の方へ
この処理は、月次をちゃんと回していないと見逃されます。 決算のときにまとめて調整すれば年間の数字は合うので、期中は支払ベースのままという例は実際にあります。
ご自社がどちらかは、試算表を開いて確かめられます。
① 貸借対照表に、毎月買掛金の残高が載っているか。 発生ベースで処理していれば、支払い待ちの仕入が買掛金として残ります。もっとも分かりやすいサインで、仕入があるのに残高がゼロのままなら、支払ベースで計上されている可能性が高いです。
② 月次推移表で、売上と仕入が同じ月に並んでいるか。 売上が大きい月に仕入が少なく、数か月後に仕入だけが膨らむ——この形になっていないか。
③ 月ごとの粗利益率が、説明できないほど振れていないか。 同じような取引を続けているのに粗利が月ごとに大きく上下するなら、売上と原価の対応が取れていません。
当てはまるものがあれば、「仕入は発生ベースで計上されていますか」と直接聞いてみてください。発生ベースにするには、支払う前の段階で金額を確定させる仕組みが必要になるため、手間を理由に支払ベースのままになっているケースもあります。
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この事例に関するFAQ
Q. 年間で見れば同じなのだから、気にしなくてもよいのでは? 年間の合計は最終的に揃います。問題は期中の判断です。利益が多く見えている状態で仕入や投資を決めると、後から資金が足りなくなります。決算の着地見込みや納税予測もずれます。
Q. いまの税理士に「発生ベースですか」と聞いても、答えが分かりません。 試算表を開いて買掛金の残高を見てください。仕入があるのに毎月の買掛金がゼロのままなら、支払ベースで計上されている可能性が高いです。専門知識がなくても確認できます。
Q. 仕入金額はどこから取ればよいのですか? 発注システムや仕入先の管理画面から、月別の明細を出力できることが多いです。金額は1円単位で合っている必要があります。ずれると、後で支払と照合したときに残高が合わなくなります。
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