freee・マネーフォワードは連携しているのに数字が合わない——毎月の点検で止める3つのズレ

佐久間 元気

佐久間 元気

代表 / 税理士・公認会計士

クラウド会計|連携のズレ:連携していても数字は合わない

この記事は、銀行口座・クレジットカード・ECサイトなどをクラウド会計ソフト(freee会計、マネーフォワード クラウド会計)に連携している会社・個人事業の方に向けたものです。

この記事の要点

  • 連携しても、数字が自動的に正しくなるわけではありません。ズレの原因は、取得の設定漏れ・エラーの放置・同じ取引の二重登録の3つです。
  • 家族カードや、有効期限の更新で届いた新しいカードが取得の対象から漏れていると、その明細が丸ごと抜けます。
  • ECサイトとカードの両方を連携していても、二重になるのは、両方の明細からそれぞれまったく同じ内容の経費の仕訳を登録したときです。経費は片方の明細で1回だけ登録し、もう片方は精算用の経過勘定との振替にすれば、二重にはなりません。

連携のズレの論点と、点検のタイミング

この記事で扱うのは、連携のズレ3つと、溜まった未確定勘定の4つです。それぞれが何で、いつ確かめるかを先に整理します。

  • 取得の設定漏れ:取得する口座・カードの選択から漏れ、明細が取得されないズレです。有効期限の更新で届いた新しいカードを、取得の対象に入れていない例がよくあります。
  • 連携エラーの放置:認証切れなどで取得が止まり、その期間の明細が帳簿から抜けるズレです。毎月の月次で確かめます。
  • 同じ取引の二重登録:ECサイトの明細とカードの明細のように、2つの経路から入った同じ取引から、まったく同じ経費の仕訳を2回登録するズレです。連携を追加するときに、経費を登録する側を決めます。
  • 未確定勘定:勘定科目が決まらない明細を、いったん置いておく科目です。溜まったら、過去分から科目を決めていきます。

連携しているのに、月次の数字が合わないのはなぜか?

原因はおおむね、取得の設定漏れ・エラーの放置・同じ取引の二重登録の3つのどれかです。

マネーフォワード クラウド会計は、口座・カード連携を「連携先のサイトに表示されている内容を完全に再現する機能ではない」と案内しています。freee会計も、同期で取得したデータの完全性は利用者自身で確認するよう案内しています。

どちらのソフトでも、月に一度は実際の明細と突き合わせて、ズレがないかを確認する前提で使います。

カードを連携しているのに、明細が丸ごと抜けることがあるのはなぜか?

会計ソフトで取得する口座・カードの選択から、そのカードが漏れていることがあるためです。

取得の対象は、マネーフォワード クラウド会計では「連携サービスの選択」画面で選びます。freee会計では、口座の詳細画面の「連携情報」で、取得している口座・カードを確かめられます。

家族カードや、有効期限の更新・再発行で届いた新しいカードは、連携していても取得の対象に入っていないことがあります。逆に、本会員カードと家族カードを別々に連携すると、同じ明細が二重に入ることがあります。

たとえば、アメリカン・エキスプレスなどで有効期限の更新により新しいカードが届いても、新しいカードを取得の対象に入れないままだと、その月から明細が入りません。

実際に、家族カード分の取得チェックが外れたまま数か月が経ち、経費が抜けて利益が実態より大きく出ていた会社がありました。

また、海外SaaSの利用料を社員の個人カードで立て替えている場合も、会社のカード連携には明細が出ません。精算の仕訳が漏れると、同じように経費が抜けます。

マネーフォワード クラウド会計では、社長個人の家計簿アプリ(マネーフォワード ME)と法人で同じマネーフォワードIDを使っていると、口座やカードの情報が共有され、連携がエラーになったり、意図しない口座まで見えたりします。

この場合も「連携サービスの選択」画面で、事業者ごとに取得する口座を選び直します。家計簿アプリ側の連携は解除しません。同じIDで使っている別の事業者やマネーフォワード MEの連携も一緒に解除されるためです。

起きやすい設定漏れ 見えにくい原因 対処
家族カード・新しいカードの明細が丸ごと抜ける 取得の対象にチェックが入っていない 取得する口座・カードの選択を確認する
法人の口座連携がエラーになる 社長個人と同じマネーフォワードIDを使用 事業者ごとに取得する口座を選び直す
デビットカードで連携できないことがある 一部のカード会社では、Web明細のID登録にクレジットカード番号が必要で、デビットカード単体では登録できない カード会社側の登録要件が原因の場合は、会計ソフト側の設定では解決しない。連携対象かは、会計ソフトの対応金融機関一覧とカード会社の案内で確認する

連携エラーは、どこまで直すべきか?

仕訳に使っている口座・カード・ECサイトの連携は、すべて直します。エラーが残っていると、その期間の明細は帳簿に入りません。

直し方は、画面に出るエラーの案内に沿うのが基本です。freee会計では、ホーム画面のエラーメッセージから開くトラブルシューティング画面に、原因と解決のヒントが表示されます。

もう使っていないサービスのエラーは、未処理の明細が残っていないことを確かめたうえで、表示から消せば足ります。

表示から消す操作は、マネーフォワード クラウド会計なら「連携サービスの選択」画面でチェックを外すこと、freee会計なら口座の非表示です。どちらも連携の解除とは別の操作です。

売上の入るECサイトや口座なら、エラーが始まった日以降の入金が本当にないかを確かめると、抜けに気づけます。

ただし、設定ミスではなく、会計ソフト側が一部の金融機関との連携を一時的に停止していることもあります。この場合は、基本的に連携が再開するのを待ちます。

決算前で急ぐときだけ、当事務所では口座の明細をCSVで出していただき、取り込んで代替しています。連携の再開後は、同じ期間の明細が二重に入らないよう、重なる期間を確かめます。

カードを再発行したら、連携はどうなるか?

カード番号が変わると連携が切れることがあるため、再発行月以降は取り込まれていない可能性を疑います。

取り込み漏れには、社長が毎月だいたいの金額を把握している科目を見ると早く気づけます。

たとえば、いつもは月10万円前後の交際費が月1万円未満になっていれば、取り込み漏れを疑います。

番号の変更で取得が止まった場合は、既存の連携を削除せず、新しい番号のカードを取得の対象に加えます。加えたあとは、同じ明細が重複して入っていないかを確かめます。古い連携を残すのは、取得済みの明細と自動仕訳ルールを消さないためです。

マネーフォワード クラウド会計では、連携を解除すると、解除前に取得した明細と、その連携の自動仕訳ルールが削除され、元に戻せません。明細から登録済みの仕訳は残ります。

freee会計では、口座に紐づく取引が残っている限り口座は削除できず、連携の解除や非表示のあとに同じ口座で再同期できなくなることがあります。クレジットカード口座の残高と設定を、別の口座に移す方法もヘルプで案内されています。

用途不明の振込が続くのはなぜか?

銀行明細には決済代行会社宛の出金としか残らず、口座側だけを連携していても使途が判別できないためです。

たとえばデポジット型のカードは、先に口座から振り込んでチャージし、その残高の範囲で使うカードです。口座の明細にはチャージの振込しか残らず、何にいくら使ったかはカード明細にしか出ません。

実際に、用途不明の振込が続いていた会社で、チャージ先のカードの明細そのものを会計ソフトに連携したところ、使途が分かった例があります。振込の中身が分からないときは、まず振込先のカード側の連携漏れを疑います。

同じ取引が、2経路から二重に入るのはなぜか?

ECサイトの購入履歴と、その支払いに使ったクレジットカードの両方の明細から、それぞれまったく同じ内容の経費の仕訳を登録すると、同じ取引が二重に計上されるためです。

両方を連携すること自体は問題ありません。両方の明細を登録したうえで、経費が1回だけになるように、精算用の経過勘定(ECサイトごとの未払金など)を間に挟みます。

ECサイト側の明細で経費を登録し、相手科目を経過勘定にします。カード側の明細は、その経過勘定とカードの未払金の振替として登録します。

こうすると経費は1回だけになり、経過勘定の残高がゼロなら、二重にも抜けにもなっていないと確かめられます。どちらの明細で経費を登録するかは、品目などの内訳が出る側で決めます。

たとえば、Amazonで備品を買い、クレジットカードで払った場合は、次の2つの仕訳になります。

明細 借方 貸方
Amazonの明細 備品 未払金(Amazon)
カードの明細 未払金(Amazon) 未払金(クレジットカード)

2つの仕訳で未払金(Amazon)が相殺されてゼロになり、備品は1回だけ計上されます。

未確定のまま溜まった仕訳は、どこから片付けるべきか?

直近ではなく、過去分から勘定科目を決めていきます。過去分で決めた科目で、その摘要の自動仕訳ルール(freee会計では自動登録ルール)を登録・更新すると、以降は同じ摘要に同じ科目が当たり、未確定の件数はまとめて減ります。

当事務所では、未確定の明細をスプレッドシートに書き出し、回答欄を埋めていただく形にしています。

毎月、自分たちで何を点検すればよいか?

まず次の3つを見ると、取り込み漏れ・エラーの放置・二重登録によるズレに気づきやすくなります。

点検項目 見るポイント 気づけるズレ
いつもの金額との比較 交際費・仕入高など、社長が毎月だいたいの金額を把握している科目 カード再発行・連携エラーによる取り込み漏れ
連携エラーの放置確認 仕訳に使っている口座・カード・ECサイトにエラーが出ていないか 期間中の入出金の丸ごとの脱落
二重登録の兆候チェック 精算用の経過勘定の残高がゼロか、同じ経費が2件ずつ登録されていないか ECサイトとカードの二重登録

会計ソフトの有料プランも止まっていないか

連携のズレとは別に、会計ソフトの有料プランが意図せず解約されていないかも確認します。利用料を払う登録カードの有効期限が切れると、決済が失敗します。

たとえばマネーフォワード クラウドでは、決済が失敗すると「ご登録済みクレジットカードの決済失敗について」というメールが届きます。再決済でも決済できないと契約が自動的に解約され、使える機能が制限されます。

給与計算や年末調整も同じマネーフォワード クラウドの契約で使っている場合は、そちらにも影響することがあります。freee会計を使っている場合も、登録カードの有効期限と請求の状況を確かめます。

実際に、解約が繰り返し起きていた会社では、登録カードの決済失敗が原因で、別のカードに登録し直したところ再発しなくなりました。

よくある質問(FAQ)

Q. freeeとマネーフォワード、どちらが連携の精度が高いですか?

A. どちらを使っても、月次の点検が要る前提は変わりません。マネーフォワード クラウド会計は「連携先のサイトに表示されている内容を完全に再現する機能ではない」と案内しています。

freee会計も「同期によって取得したデータの完全性についてはお客様自身で確認することが必要です」として、月に1回程度は同期元の金融機関のサービスと照らし合わせて確認するよう案内しています。

Q. 会計ソフトを乗り換えれば、連携ズレはなくなりますか?

A. 乗り換えるだけでは基本的になくなりません。ズレの原因は取得設定・エラー放置・二重登録という運用面にあり、どちらのソフトでも起こり得ます。

Q. 連携エラーの通知が来たら、毎回すべて対応すべきですか?

A. 仕訳に使っている連携のエラーは、すべて直します。使っていないサービスのエラーは、未処理の明細が残っていないことを確かめたうえで、表示から消すだけで足ります。


NOMERAは、受託開発・SES・広告・ECなどデジタル領域の企業に特化した、東京・西新宿の会計事務所です。オンラインで全国対応しています。

クラウド会計の連携を入れて終わりにせず、毎月の数字が実態と合っているかまで見るところから対応しています。この記事の内容が自社に当てはまるかを確かめたい方は、お問い合わせフォームからご相談ください。現在の税理士がいる場合の、セカンドオピニオンとしてのご相談にも対応しています。

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※本記事は2026年10月時点の公開情報にもとづく一般的な解説です。個別の取扱いは事実関係により結論が変わるため、実行前に税理士へご確認ください。

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内容は掲載時点の制度・実務に基づきます。制度改正があった記事は更新日を改めて記載します。
佐久間 元気

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佐久間 元気

代表 / 税理士・公認会計士

公認会計士試験合格後、PwCを経てNOMERA会計事務所を設立。月次の数字を経営判断につなげ、税務・労務・法務・融資までを一つの窓口で整理する体制を設計

税理士登録番号:149427 / 公認会計士登録番号:043719

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